こんにちは、きくたまchのたまごです。
オーボエの仲間にイングリッシュ・ホルンというものがあります。別名コールアングレとも言います。
イングリッシュ・ホルンの”イングリッシュ”は英語・英国の、”ホルン”はそのまま楽器のホルンのことですが、コールアングレの”コール”は笛、”アングレ”はエンジェル(天使)のことだとも言われます。
イングリッシュ・ホルンの先祖にオーボエ・ダ・カッチャという楽器があるのですが、その形が中世の絵画でよく描かれた天使が吹く笛と似ていることから、「天使の笛」と呼ばれていたとも言われています。
日本では”アングレ”と略されることが多いですね。
その他のオーボエの仲間についてはこちらで紹介していますよ。
イングリッシュ・ホルンの仕組み
楽器の仕組みとしては、ほとんどオーボエを同じです。
違うと言えばリードと楽器の間にボーカルと言われる管が刺さっていることです。
これはオーボエでいうリードのチューブと同じ役割をしていますが、長く少し湾曲しているのが特徴です。
チューブにいくつも種類があるように、イングリッシュホルンのボーカルにも種類があり、ボーカルだけ買い換えることもあります(ただしかなり高価です)。
また、ベルが卵のような形をしており、そのために音色がとても柔らかで、優しい響きがします。
オーボエよりは大きく長いため、楽器を支える右手にはすごく負担がかかります。そのために通常はストラップを使用して演奏します。
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無理をしてストラップ無しで演奏し続けると、右手・右腕を痛める可能性がありますので、無理をせずストラップを使用しましょう!
ストラップをすると窮屈という方は、ゴム製の伸縮性のあるストラップもあるので、それを使用すると自由度が上がりますよ。
イングリッシュ・ホルンの調性
オーボエがC管なのに対して、イングリッシュ・ホルンはオーボエより完全5度低いF管です。
なので、イングリッシュ・ホルンで記譜上のドを吹くとファが鳴ることになります。
慣れないうちは楽譜に書いてある音と鳴っている音が異なるので、違和感がありますね。練習を続けていると慣れてきますよ!
イングリッシュ・ホルンが活躍する曲
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」第2楽章
なんと言っても、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」は外せないでしょう。
この曲では、イングリッシュ・ホルンは全4楽章あるうち、2楽章にしか登場しません。1楽章を待ち2楽章でソロを吹いたら、4楽章が終わるまでは舞台上で待つことになります。
この曲は通常オーボエ2人とイングリッシュ・ホルン1人の計3人で演奏しますが、オーボエの2番奏者が2楽章のソロの部分だけイングリッシュ・ホルンに持ち替えて演奏する場合もあります。そうするとオーボエパートとして2人で3つのパートを賄えることになります。
ベルリオーズ:幻想交響曲 第3楽章
「新世界より」と同じようなことが他の曲でも見られます。
ベルリオーズの「幻想交響曲」は1番オーボエ、2番オーボエ、イングリッシュ・ホルン、そしてバンダ(3楽章で舞台裏や舞台袖で演奏)のオーボエと、最大4人で演奏する場合もあれば、2番奏者がイングリッシュ・ホルンを持ち替え、1番奏者が3楽章の前に舞台上からはけてバンダのパートを演奏して、4楽章の前にまた戻ってくるパターンもあります。そうすると2人ですべてを賄ってしまえるんですね。
こちらの第3楽章でもイングリッシュ・ホルンが大活躍。バンダのオーボエとのかけ合いが美しいです。
レスピーギ:ローマの松
以前に「見てほしいYouTube動画!」でも紹介した、レスピーギ作曲の交響詩「ローマの松」。
こちらの第4楽章ではイングリッシュ・ホルンのソロが光ります。
ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調
最後に紹介するのはラヴェルのピアノ協奏曲です。
第2楽章ではソロのピアノが流れるように小さな音符群を演奏し、イングリッシュ・ホルンのゆったりとしたソロとの対比が特徴です。
まとめ
もちろんイングリッシュ・ホルンが活躍する曲はまだまだたくさんあります!
日本では2番オーボエ奏者が持ち替えて担当することが多いですが、海外のオーケストラではイングリッシュ・ホルン奏者がいるくらいとても大事な役割なんですね。
それだけソロも多いですし、オーケストラでは大活躍なわけです。
オーボエ奏者の方で「イングリッシュ・ホルンも演奏したい!」と思っている方も大勢いらっしゃるでしょう!
ぜひ楽団に楽器がある方や、ご自身で購入する!という方はチャレンジしてみてくださいね!
それでは!
きくたまch
たまご
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